10月, 2012年

遺言書を作る(自筆証書遺言について)

2012-10-29

自筆証書とは,遺言者が遺言書の全文,日付及び氏名を自分で書き,押印して作成する方式の遺言です。

映画やドラマで登場する遺言書は,多くの場合,この自筆証書遺言です。そのため,あまり法律に詳しくない世間一般の方たちがイメージする遺言書といえば,自筆証書遺言だと思われます。

【自筆証書遺言で遺言書を作るメリット】

①自分で書けばよいので,誰にも知られずに,いつでも遺言書を作成できる。

②作成に費用がかからない。

【自筆証書遺言で遺言書を作るデメリット】

①全文を遺言者が手書きをしなければいけない等,方式が厳格に決まっているので,形式的な方式不備により無効となる危険性がある。

②遺言者が法律の知識に乏しい場合には,遺言書の内容に法律的な不備が生じる危険があり,後に紛争になったり,遺言書が無効となってしまうこともある。

③偽造,改ざんの危険性がある。

④相続発生後,遺言書を発見した者が,必ず,家庭裁判所に遺言書を持参し,相続人全員に呼出状を発送した上で,その遺言書を検認するための検認手続を経なければならない。

自筆証書遺言には,以上のようなメリット,デメリットがあります。映画やドラマを見ていると,自筆証書遺言は,遺言者が自分の思いの丈を死後遺された人たちに直接伝えることができてよいものと思いがちですが,上記したデメリットを考えると,必ずしも,適切な遺言書の方式とはいえないところがあります。実際,映画やドラマで登場する自筆証書遺言の多くは,方式の不備等により無効なことが多いです。

法律的な知識があまりない方や,財産関係や家族・親族関係が複雑な方が遺言書を作る場合には,自筆証書遺言の作成は避けた方が得策といえるでしょう。

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弁護士 野澤  渉
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