「相続」とは何なのか?

2012-06-23
ある人が亡くなった時に,「相続」が発生して,故人の親族は,時としてこの「相続」の問題で悩み,場合によっては親族の間の争いごとに発展することもあります。
 
この「相続」とは,そもそも,何を意味するものなのかについては,歴史的には「相続」とは,身分の承継であると考えられてきました。家督相続や当主の地位を継ぐといった時の考えの根底にあるのは,この身分を承継することをもって「相続」という考えです。
 
しかし,日本国憲法のもと,人間は生まれながらに自由であり平等であるという個人主義,自由主義を法の基本原則とするようになると,身分制度が否定され,承継するべき身分が存在しないことになりました。そこで,現在では,身分を承継することの一部分であった財産を承継することをもって「相続」と考えるようになりました。
 

従来は,故人が承継させるべき身分をそもそも有していない場合には,当該故人について,「相続」が問題となることはありませんでした。しかし,故人が成人の場合,財産がないということは,ほとんど考えられないことですから,現在の制度によると,亡くなった方が成人の場合,ほぼすべての方に,「相続」の問題が発生すると考えられます。
 
このように,現在の法制度における「相続」とは,財産の承継を意味するものです。そして,故人の財産について,誰に,何を,どのくらい承継させるのかをめぐる問題が,相続問題といわれるものということになります。
 
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弁護士 野澤  渉
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