-遺言-遺産相続が正当なものとされる理由

2012-06-16
相続が発生した時,親族間で問題や紛争が発生するのは,どうしてなのか。
いろいろな原因があると思いますが,一つには,現在の相続の法制度が,どのような基本的な考え方に基づいて定められているのかという,「相続」に関する実質的な意味,内容に関する知識や理解が,相続に関係している一人一人に,不足していることがあると思います。
 
そこで,これから,何編かに継続して,「相続」に関する実質的な意味,内容について,記述していこうと思います。
ただ単に「法律がこうなっているからこうなんだ」という,形式的表面的なものをから一歩踏み出した理解のお役に立てればと思います。
 
人がお亡くなりになった時,故人の財産を誰がどのように承継するのかという遺産相続の問題の解決の方法としていくつかのパターンがあります。
 
まず,遺産相続の解決の方法として,故人の意思を根拠とすることを思い立つ人は多いと思います。
故人の意思を表すものが遺言です。そして,遺言がある場合には,原則として,遺言に従い遺産相続を解決することになりますし,遺言の内容に従って遺産相続が行われることがよいと考える人は多いと思います。
 
では,どうして,故人の遺言に従って,遺産相続を行うのがよいのでしょうか。
 
今の日本は,個人の人格を尊重する個人主義,自由主義を法の基本原則としています。
 
このような個人主義,自由主義の社会においては,遺産相続の場面でも,以前の家制度や家督制度は採用されず,故人の財産を誰がどのように承継するのかに関して,故人の意思がある場合には,その故人の意思を尊重して解決されるべきということになります。
 
そして,故人の意思を表しているものは,遺言ですので,遺言の内容に従って遺産相続は解決されるということになるのです。
 
このように,今の日本は,死後の相続の場面についても,個人の人格が尊重される法制度をとっています。
 
そして,このような法制度をとり,遺言により遺産相続を解決するべきということになると,故人が,遺言を作成するにあたり,血のつながりよりも,もっと他の要素を重要なものと考えていた場合には,遺言により,法定相続人(親族)ではない全くの他人や団体に遺産を承継させることもできるのです。
 
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弁護士 野澤  渉
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